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NZのクラブスキー場を訪ねて2

リフト乗り場に着いて驚いた。一本の太いロープが上に向かって伸びているだけだ。どこにもゲレンデらしきものはない。目の前に広がっているのはただの山だった。上に行けばゲレンデがあるのかもしれないと思い、リフトに乗ることにした。ロープトゥと呼ばれるリフトだ。ずっと昔、乗鞍高原で短いロープトゥを経験したことがあった。ここのは斜面がずっと急で、しかも途中でロープが屈曲している。

スキーをつけたまま、かなりのスピードで動くロープをナットクラッカーで挟み込み、はずれないように両手で押さえる。5メートルも進まないうちにバランスを崩して転倒した。もう一度リフト乗り場に戻り、やり直し。2度目はもう少し進んだが、やはりロープから振り落とされて転倒、滑落。スキーをする前に敗退かという不安が頭をよぎった。私の滑落を目のあたりにして、奥さんなどリフトに乗る前からおびえている。ここは夫としての威厳を示さなくてはいけない。

動揺を隠しつつ3度目の挑戦。今度はうまくいった。屈曲部を通過する時の衝撃にも耐え、上に登り続けた。しかし、次第に握力がなくなってきて、ナットクラッカーがだんだん開いてくる。下を見ると岩もあちこちに出ている。「もうだめか」と思った時、傾斜がゆるみ、リフトの終点があった。奥さんもなんとか上がってきたが、しばらく休んで握力が回復するのを待たなければならなかった。2本目のリフトは傾斜がゆるく、振り落とされずにすんだ。このあたりからなんとなくスキー場ぽい地形になった。リフトの終点近くに、この年新築されたランチハットがあった。

さらに3本目のリフトでゲレンデトップを目指す。握力がなくなり、無駄な力がでなかったことが功を奏したのか、今回は滑落することもなく終点までたたどり着いた。ゲレンデトップからはサザンアルプスの山並みがよく見えた。白く輝く峰々はきれいだった。さて、今度は滑降である。ここまでたどり着くのに、もはや体力の80%は使い果たしていた。圧雪されたコースなどない。というより斜面の雪は風に吹き飛ばされて、全面テラテラと光っている。傾斜の緩い部分を選んで慎重に下る。エッジがガリガリと音をたてた。

疲れ切ってロッジに戻った。休むまもなく、夕食の準備である。その日の分担は料理の補助だった。専任のコックが、野菜はこんなふうに切って、シチューはこうかき混ぜてといろいろと指示をしてくれる。その英語が聞き取れない。もともと理解できる料理関係の語彙が少ないうえに、オーストラリア訛りの英語では歯がたたない。「実際に見本を見せてくれ」と頼み、見よう見まねでやってみた。これではスキーツアーというより、ホームステイの英語研修だ。先が思いやられた。

(NZのクラブスキー場を訪ねて3に続く)


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